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タイバニ関連を主にうp。 たまに兎虎や海老虎のSSうpしたり。 基本は写メで。
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時々。虎徹のコトが理解出来なくなる。


「だっ、おい海老!!」


いきなり手首を掴まれて、水をかけられた。
水道の蛇口から溢れる水が、滝の様にごぉぉ、と音を立てる。
段々とその水が冷たくなって行くのを、皮膚センサーが感知した。
この前、もっと人間に近くなるように、とミスター斉藤が追加してくれた機能は、正常に動いているようだ。
また明日充電に行った時に、ちゃんと報告しないと。内部メモに書き加える。


「・・・虎徹、これには何の意味がある?」
「意味って、お前今フライパン触っただろ!」


ここ!と指先を撫でられる。
どうやら取っ手を持った時に、誤って縁に触れてしまったらしい。
メモリーを巻き戻すと、確かに自分が触れている映像が残っていた。
熱いという感覚はあったけれど、こんな程度では融解しない。


「大丈夫だ、虎徹」
「何が大丈夫なんだよ!あーっ、もう赤くなってんじゃねぇか!」
「これはセンサーが・・・」
「センサーとか言うな!薬塗ってやるから、こっち来い」


あぁ、ほらまただ。
不機嫌になってる。怒ってる。苛々してる。
虎徹の心拍数や脈拍、色々な指数を計算して見るが、明らかに荒れている。
何がいけなかったのだろう。
怒らせたい訳じゃない。こんな風に苛々させたい訳じゃない。
だけど、何がこんな風に虎徹を怒らせるのかが解らない。
・・・インターネット接続起動、検索、検索結果照合。
理解不能、認識不可。
・・・再接続、再検索、検索結果照合。
理解不能、認識不可。


「・・・解らない」
「あ?何がだよ」


ソファーに無理矢理座らされ、向かい合った虎徹が救急箱を開ける。
中から取り出した傷薬を、そっと俺の指先に乗せた。
常温のクリームが触れる。


「痛いか?」
「痛覚センサーが反応しない。問題ない」
「・・・あそ」


不機嫌指数、上昇。
言葉が、見つからない。解らない。
知りたい。
何を今述べたら、虎徹がいつものように笑ってくれる?
俺は家庭用アンドロイド。人の為にならなければならない。
だから、虎徹の為にならなければならない。
持ち主を苛立たせたり、怒らせたりするコトは許されない。
・・・引っ掛かる。何かが、引っ掛かる。
怒らせたくない、笑って欲しい。
だけど、それはプログラムではなくて、いや、きっとこれはプログラムだ・・・。
エラー。


「おい海老、どうした?」
「・・・問題ない。エラーが起きているが起動に問題はない範囲だ」
「火傷と関係してんのか?」


まるで自分が怪我をしたかの様に。
悲痛に顔を歪めて、虎徹が指先を撫でる。


「関連性はない」
「・・・そか。後は俺やるから、お前は少し休んでろ」


ぽん、と肩を軽く叩かれる。
虎徹が立ち上がり、そのままキッチンへ向かった。
やる。
そう答えたいけれど、少し休めと命令された。
やりたい。虎徹の好きなチャーハンは、後は皿に盛るだけだ。
だけど、命令は少し休めだから、動けない。
エラー。
・・・またエラーが発生している。
明日のメンテナンスで、ミスター斉藤によく見て貰わなければならない。


ゆっくりと目を閉じて、深く息を吐き出した―



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