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タイバニ関連を主にうp。 たまに兎虎や海老虎のSSうpしたり。 基本は写メで。
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ひょい、と前屈みになって首を傾げながら。
貴方が、無邪気に笑った。


「ばにー、ばにー!一緒にお菓子食べようぜっ」


僕よりもかなり早く産まれ。僕よりも長い年月の人生を歩んでいるというのに。
そんなコトを微塵も感じさせない、無邪気で幼くて、愛らしい笑顔。
言葉にしたら、きっと貴方は顔を真っ赤にさせて。
つんと尖ったアヒル口を更に尖らせながら、拗ねるのでしょうね。
そんな姿も見てみたいけれど、今は違うルートを選んでみる。


「虎徹さん、いくら2人きりだからとはいえ、羽目を外し過ぎですよ」
「いーじゃんか。おばちゃんも休み、ロイズさんは出張!こんな日滅多にねぇんだぞ?」


聞く耳なんて一切持たず。
僕に取っては憎たらしい存在でしかない、青と赤のマントに身を包んだ丸い体型が描かれた袋を開ける。
・・・また貴方ですか。
眉間に自然と皺が寄るのを感じながら、人差し指で眼鏡を押し上げる。
いつまでも虎徹さんの心を捉えて離さない、憎きレジェンド。
そのポジションに居られるのも今の内ですよ?
僕は必ずや貴方の歴史を塗り替え、恋人のポジションも、ヒーローとしての憧れのポジションにも立ってみせます。
近い将来、虎徹さんが今開けているそのお菓子の袋には、僕が描かれているでしょう。


「ばにー、笑い方が気持ち悪い」
「なっ・・・!?」
「何考えてんのか知らねーけど、天下のバーナビーブルックスJr.様がする顔じゃなかったぞ」


うげ、と減滅した表情を浮かべながら、虎徹さんがお菓子の袋に手を突っ込む。
き、気持ち悪いって・・・気持ち悪いって言われた・・・虎徹さんに・・・。
どうしよう・・・なんだか強烈な眩暈が・・・。
ごつん。


「痛っ・・・ちょ、何する-」


おでこに鈍い痛みが走って、抗議の声を上げる前に唇を塞がれていた。
くしゃりとやや固めの黒髪が前髪に重なり、琥珀色の濡れた瞳が僕をみつめ、ゆっくりと閉じていく。
シトラスとオーシャンブルーを混ぜた、お気に入りの香水の匂いが。
甘くて軽やかに、そしてみずみずしく。鼻腔から体内を満たして行く。
溜まらなくなって、頬をそっと手の平で包み込み、少しだけ深く口づける。
痛みに似た眩暈が、甘美な眩暈へと変化する。
甘い甘い。胸焼けすら起こしそうだ。
そっとどちらから共なく唇を離す。
それでも僕は、捕らえた頬を手放せない。
ゆっくりと瞼が開かれ、琥珀色の瞳が僕を捉える。
頬を赤く染めながら、えへ、と笑みを零された。


「ちゅー、しちゃった・・・」
「頭突きがなければもっと嬉しかったのですが」
「だって、ばにーが自分の世界に閉じこもってるからさ・・・」


言えない・・・虎徹さんに気持ち悪いって言われたコトがショックだった、だなんて。
ごそごそとお菓子の袋に手を突っ込み、ずい、と中のスナック菓子を差し出される。


「ほら、ばにー!あーん」
「ちょ、ちょっと虎徹さん!さっきも言いましたが、いくら2人きりとは言え仕事中にお菓子を食べるのはどう-」
「相変わらず硬いな。イイじゃんか、2人だけなんだから」
「そういう問題じゃないんです、そもそも休憩時間があるんですからその時に食べればイイじゃないですか」


むぅ、とほっぺたを膨らませて、拗ねられる。
あぁまた・・・そんな歳不相応な態度を取って・・・。


「なんだよ・・・折角ばにーと食べようと思って、持って来たのに」


敵わない。
僕はきっと、この先も。ずっとずっと、虎徹さんにだけは敵わないんだろう。
どんなに強い相手にも勝つ自信がある。どんな問題も乗り越えていく自信がある。
だけど、この人に関しては。
僕は、白旗を挙げ続けるコトしか出来ないんだ。
自然と、笑みが零れる。


「虎徹さん」
「なんだよ、ばにー」


口を、開く。
ぱぁぁっ、と無邪気な笑顔を浮かべて。
虎徹さんがお菓子を摘んだ。


「はい、あーん!」
「・・・あーん」


たまには、こんな日も悪くない-


どうしたらイイのか。未だに答えが出ない。
初めて逢った時から感じていた何か。
こんな歳にもなって、笑われるかも知れないけれど間違いなく『一目惚れ』だった。
自分が同じ男に興味を抱くなんてこれっぽっちも思ってなかったし。
すごく想定外のコトで、もしかしたら犯人のNEXT能力の影響なんじゃないかとも思った。
でも、日を追う毎に。距離が縮まる毎に、胸の高鳴りは強くなって。
気が付いたら、自分でもびっくりする位に好きになっていた。
だから、バニーの口から4文字が零れた時には、嬉しいのとびっくりしたのと色んな感情がぐっちゃぐちゃになって。
ぽかんと口を開けたまま、ただぽろぽろと泣くコトしか出来なかった。
その時に撫でてくれた手の感触と、初めて交わしたしょっぱいキスの味は今でも忘れられない。





けれど。
付き合うようになってから、もっと大きな悩みにオレは追われるコトになった。
『本当にこれでイイのか』
耳元で、常にその言葉が聴こえる。
バニーのコトは好きだ。どうしようもない位に、ただ好きなんだ。
でも、好きだからこそこんなオレに縛り付けてしまって良いのかと、そう思う。
バニーはまだ若い。顔だって性格だって、非の打ち所がない位にイイ奴だ。
道行く誰もが振り返り、見惚れる。
神様が創り、地上に舞い降りた天使。
そんな言葉だって、バニーにならしっくり来る。
それに比べてオレは、もうおじさんだし、容姿だって性格だって、頭脳だって。
何処にでも居るような、平凡な奴で。
こんな平凡過ぎるオレが、こんなにも神々しいバニーと一緒に居て、イイのだろうか?
バニーの隣に相応しいのは、オレなんかじゃなくて。
ブロンドヘアーが宝石のように美しくて、湖のような瞳を携えて。
整った顔立ちに、誰からも愛される性格、そして頭脳。
何もかもが素晴らしい女のが、似合うに決まってる。
オレなんか・・・バニーに釣り合ってない。
本当のバニーの幸せを考えるなら、別れるべきなんだ。
綺麗な女と結婚して、子供を産んで貰って、温かい家庭を持つ。
それこそが、きっと。バニーの幸せなんだ…。


「虎徹さん、どうしました?」
「だ?え、何が?」


突然掛けられた声に、はっと我にかえる。
読んでいた雑誌はすっかり太股に沈んでいて、慌てて目の位置まで持ち上げ直した。
背後からオレを抱き締めているバニーの腕が上がり、案外大きな手の平で前髪を持ち上げられる。


「な、なんだよ」
「熱はないみたいですね・・・ぼーっとしてましたが、疲れてます?」
「んっ・・・」


ちゅ、と首筋にキスを落とされて、そのまま髪を撫でられる。
こうやって甘やかされるの・・・実は、すごく好きだ。
触れるよりも触れられたい。抱き締めるよりも抱き締められたい。
出逢った頃から小さく生まれていたその願望は、今でははっきりと解る位に成長していた。
対照的にバニーの方は、オレに触れられるよりも触れたくて。抱き締められるより抱き締めたかったらしい。
ので。
自然と、こういう形に落ち着いた。
簡単に言っちゃえば、オレが彼女ポジション・・・な、訳で。
30代の男の威厳も、唯一バニーよりも上回っている年齢という部分のプライドも、誇りも。
あっという間に崩されて、ぐちゃぐちゃにされてしまった。
バニーと付き合うようになってから、精神年齢がどんどん下がってるような気がする・・・。
・・・甘えたくて。甘やかされると、みっともない位にきゅんきゅんしちゃう。


「大丈夫だから」
「今日はもう寝ましょうか。はい、没収」


読んでいた雑誌を奪われ、そのまま当然のようにお姫様抱っこで持ち上げられる。
勝手知ったるなんとやら。
オレの家だというのに、バニーはすっかり馴染んでいる。
当然の如くロフトへと続く階段に足が向き、すたすたとベットへ。
ゆっくりとベットに寝かされ、そのままぎゅっと抱き締められた。


「ばにー、大丈夫だってば」
「はいはい、もう寝ますよ。イイ子にしてください」


毛布を掛けられ、おやすみのキスを落とされる。
抱き締めてくれる腕が、胸板があったかくて。
そのまま夢の世界へと堕ちそうになる。のに。
また、声が聴こえた。
こめかみの辺りから身体が冷たくなって、唇が震える。
あぁ、でも。
なんだか今日は、吐いてしまいたい。


「・・・あのさ、ばにー・・・」
「どうしました?」


撫でてくれる手に、縋りたい。
離したくない。離さないで欲しい。
だけど。
好き、だからこそ。幸せになって貰いたいから。


「・・・別れる、とか・・・考えたコト、ある、か・・・?」
「・・・それ、どういう意味ですか?」


撫でてくれる手が、止まる。
このままオレ達の時間も、回っている歯車も壊れてしまうのだろうか。
痛い。
痛い痛い。
涙が溢れる。


「・・・だめだ・・・やっぱり、こんな関係良くない・・・!」
「虎徹さん、その言葉の意味を理解して言ってますか?」


バニーの声が冷たくなる。


「オレおじさんだし、バニーみたいに見た目も頭も性格も良くねぇし・・・!」
「ちょっと待ってください」
「女じゃないから、お前の子供産んでやって、温かい家庭も作ってやれない・・・!」


あ、駄目だ。
溜めてた不安が、恐怖が爆発する。


「この先のバニーの幸せ考えたら、オレ・・・一緒に居られない・・・!」
「虎徹さん」
「好きだから、バニーのコト好きだから、だから幸せになって欲しい、オレじゃ絶対幸せになんか・・・で、きなっ・・・」


息が出来ない。
喉の手前で蓋をされているかのように、酸素が肺まで届かない。
吐き出そうとする息も、蓋に狭まれて肺に戻る。
ひっ、ひっ、と出来ない呼吸がただ音になって、身体がひきつる。
この歳になって、ひきつけ起こすなんて・・・格好悪い。


「虎徹さん」
「ばに、は物語の、王子っ・・・様みたいに完璧で、だかっ・・・ら、やっぱ、お姫様みたいな子じゃなきゃだめなんだ!」


泣き叫んだ。
心が張り裂けそうに痛い。
自分の口から現実を吐き出すのが、こんなにも辛いとは思いもしなかった。
これでバニーを幸せにしてやれる。そう思ってほっとしている自分と。
オレを手放さないで欲しい。そう思う自分がいる。
本当はどうしたいのか、もう自分でも解らない。
ただただ、苦しくて、辛くて、痛くて。
子供のように泣きじゃくるコトしか出来ない。


「・・・そうですか。解りました」


言葉が、ナイフになって胸に刺さる。
・・・そっか・・・半分ほっとして、半分絶望に包まれる。
オレ・・・バニーに、一体どうして欲しいんだろ。


「僕はもう、お姫様に逢ってます。そしてそのお姫様を愛してます」
「っ・・・」


知らなかった・・・バニーに、そんな人が居たなんて。
そうだよな、そりゃそうだよ。
バニーみたいに格好良くて優しくて頭もキレる奴が、そんな女を見逃す訳がないもんな・・・。
きっとすごく綺麗な女で、2人が産む子供は天使みたいに可愛いんだろうな・・・。


「もしお姫様が僕を嫌いだと言っても、僕はその人を手放す気はありません。どんなコトがあろうと」


指と指を、絡められる。


「・・・ばに・・・ちゃ・・・?」
「愛しています。僕の、僕だけのお姫様」


じっとみつめられたまま、ちゅっ、と指先に唇を落とされる。
何が起きてるのかさっぱり解らなくて、頭の中が真っ白だった。


「えと・・・オレの話、聴いてたよ、ね・・・?」
「聴いてましたよ?僕が王子様みたいだから、王子様にはお姫様がお似合いで。だから別れる、と」
「ん・・・なら、なんで」


はあ。
大きな溜息。


「いつも言ってますけど、虎徹さん自分の魅力に気付かな過ぎです」
「だ?」
「僕の苦労なんにも解ってないでしょ?全く、どれだけ貴方を狙ってる男が居るか・・・無自覚過ぎるんですよ」


指を絡めたまま、こつんとおでこを軽く叩かれる。
さっぱり意味が解らなくて、首を傾げた。


「えーと・・・ごめん、意味が全然解らん」
「虎徹さんは誰がどう見ても、お姫様です。貴方が想像する、僕の隣に居るべきお姫様像、まんまですよ」
「違うって、オレただのおじさんだし、顔も性格も頭も平凡っていうか更にその下だし!」
「どうしてそうやって自分の魅力に気付かずに下に見るんですか?」


はぁー。
またでっかい溜息を吐いて、バニーが頭を抱える。
想像していた展開と全く違う現実に、ただうろたえるコトしか出来ない。
頭ん中ぐちゃぐちゃで、ほぼパニック状態なオレを、ぎゅっとバニーが抱き締めてくれる。


「ば、に・・・」
「何度も言います。僕のお姫様は虎徹さん、貴方だけです」
「・・・」
「最近悩んでたのは全部これが原因ですか?」


黙って頷く。
背中に回された腕が、より一層強くなった。


「すみません・・・虎徹さんが、僕とのコトで悩んでいるコトに気付かなくて」
「や、バニーが謝るコトないから」
「虎徹さん。僕の一番の幸せを教えてあげます」


じっと、みつめられる。
あぁ駄目だ。こんな目でみつめられたら、一生離れられなくなる。
きゅんきゅんする。
甘酸っぱくて胸焼け起こしそう。


「ば、に・・・」
「僕の一番の幸せは、世界で一番可愛いお姫様とこうして愛し合うコトです」


触れてきた唇がとても優しくて。甘くて。幸せで。
背中に張り付いていた嫌な感覚が、魔法みたいに熔けていく。
あぁ、オレは。
どうしようもない位に、バニーのコトが。


「虎徹さん、好きです」


あぁ、あの時と同じ言葉と笑顔だ。
自然と、オレも頬が緩む。


「ん・・・オレも、バニーのコト・・・だいすき」





僕の一番幸せな時間は、今、この時だ。
愛しい恋人の家で、恋人の匂いが染み付いたソファーに座り。
膝の上に愛くるしい恋人を乗せて、華奢な身体を抱き締めて。
甘い香りがする、うなじや耳の裏に鼻先を埋める。
ああ・・・幸せだ。


「ん、バニーちゃんくすぐったい」


もぞ、と身体を揺らしながら振り返られる。
琥珀色の瞳、すらっとした鼻筋、桜色のアヒル口。
我慢?理性?そんなもの、この人の前では存在しない。
柔らかいそれに触れる。
ゆっくりと顔を離すと、琥珀色がゆらゆら涙に揺れて頬の赤みが増していた。
たから、それ反則ですって。


「ん、ふ・・・あ、あふ、ば、に・・・ちゃ、ねぇ、ちょっ」


ぐい、と腕を突っ張られて、はたと我に返る。
あ、しまった。
この虎徹さんの赤面っぷりから考えると、相当な数のキスをしてしまったようだ。


「な、んか用あったんじ、ゃね、ぇの?」


はあはあと、乱れた呼吸のまま言葉を口にしないで欲しい。
ムラムラする。


「いえ、虎徹さんが可愛いくて甘い匂いがしたので」
「なっ・・・!?」
「だから、首筋にキスしてました」



ぼんっ、と音がしそうなぐらいに真っ赤になって。
わなわなと唇を震わせながら、ぽかぽかと胸を叩いてくる。
細くて、力を入れてしまったら折れてしまいそうな手首をそっと掴む。


「はい、捕まえた」
「だぁっ・・・」


にこりと微笑んで、細くしなやかな指先にキスを落とす。
華奢な腰に腕を回して、すっぽりと抱き締めた。


「・・・捕まえた」
「ふあ・・・ちょっ、バニーちゃん・・・」


耳元で囁き、そのままぬるりと舌を挿れる。
じわりと熱くなった耳朶を甘く噛み、ゆっくり舌を這わせた。
小さな身体が、かたかたと小刻みに震える。


「怖い?」
「そ、そうじゃな・・・」
「ん。大丈夫、知ってますよ」


ふわりと微笑んで、また唇を奪う。
可愛いくて、愛しくて、あざとくて、感じやすい。
僕の、恋人―
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