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タイバニ関連を主にうp。 たまに兎虎や海老虎のSSうpしたり。 基本は写メで。
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素直になれない自分に、苛々する。
邪魔をするのはくだらないプライド。
でもさ、やっぱ崩せねぇんだって。
何年も先に生まれて、何年も先に色んなコト乗り越えて来て。
歳ぐらいしか、お前に勝てるもんなんかなくて。


「僕は全く気になりませんけど?性別も年齢もどうでも良いコトです」


さらっと言って退けてさ。
ふわって誰もがくらくらするような笑顔浮かべて。


「愛してます。僕にとったら、そんなのは本当に些細なコトで・・・いえ、全く気にならないんです」


って言われても、やっぱりこっちは気になるっつーの。
性別は・・・まぁ、この際大目に見ようとしよう。つーか見て欲しい。
オレだって、まさか自分が男に惚れるなんて思ってもなかったんだからな!?
だからまぁ、それは置いといて。
ルックスも収入も性格・・・いや、これはオレの方がイイかも。
とにかくバニーの方が色んな物が上でさ。オレが勝てるモノって言ったら年齢ぐらい。
だから、さ。
甘えてくださいよ?って言われても、甘えられない。
本当は甘えてみたいと思う。
バニーに撫でられるの好きだし、これでも最近じゃ2人っきりの時はひっつけるようにはなって来た。
撫でられても払ったりしねぇし、キスされるのも大人しく受け入れるようになったし。
努力はしてる!
でも、さ。
自分から求めるっつーか、そういうのがまだ出来ない訳で。
甘えてくれる方が嬉しいです、とか、可愛いです。って言われるけど・・・。
変なプライドが邪魔して、言葉が出ないし身体が動かねぇ。


「虎徹さん、どうかしました?」
「ん?え、あ、いや、なんでもない」


はっとなって首を振る。
不思議そうに首を傾げながら、さりげなくバニーがエレベーターのドアを押さえた。
あぁ、ほらまたそうやって・・・。


「そうですか。どうぞ?」
「ん・・・さんきゅ」


1歩中に足を踏み入れる。
オレが振り返って目的のフロアを押すよりも先に、バニーの指がボタンを押していた。
っとにもう、抜かりねぇよなぁ、バニーって。


「この前美味しいって言ってたシャンパン、覚えてます?今日も冷やしてありますよ」
「え?どれだっけ。バニーん家にある酒はみんな美味いからよく覚えてねぇんだけど・・・」
「ほら、甘くて美味しいって言って2本も空けてたやつですよ」
「あー・・・だっ、全然思い出せねぇっ」


くすくすと笑いながら、指と指を絡められる。
あ・・・ほら、またそうやってオレがなんか言う前に行動しちまって・・・。


「きっとラベルを見れば思い出しますよ。あ、チーズも用意してありますからね」
「ん・・・」


やばい・・・エレベーターって確か防犯カメラ点いてたよな。
でも、今・・・今、したい。
すっげーしたい。して欲しい。
言ったら、バニーどんな顔すんだろ・・・怒りはしない、よな絶対。
呆れたりもしねぇだろうし、本人は言ってくれたら嬉しいです、ってよく言ってるけど・・・嘘じゃねぇかな?
嫌われたらどうしよ。やべ、無理。嫌な顔されたら、オレ耐える自信ねぇぞ。
っていうか、年上が年下に言うようなコトじゃ・・・あぁ駄目だ、まーた歳の差考えてる。
や、でもさ、やっぱ上のオレが下に甘えるってどーなんだよ。
そりゃバニーは言えっていうけどさ、あー・・・頭痛てぇ・・・。


「虎徹さん」


反射的に顔を上げると、柔らかく触れてくるそれ。
絡められた指に力が入って、少しだけ強く手を握り締められる。
もう一方の手が伸びて来て軽く、顎先を持ち上げられた。
少し冷たい、体温。
音もなく離されて、途端に何をしたのか頭が理解して恥ずかしさに襲われる。


「だっ、お、おまっ・・・え、エレベーターはまずいだろ・・・カメラ、とか・・・」
「別に気にしませんよ。カメラより、虎徹さんの気持ちの方が優先です」


オレの・・・気持ち?
はい?と首を傾げる。バニーも不思議そうに瞬きをしながら、軽く首を傾げた。


「え、だって今、僕にキスされたい、って思ってましたよね?」
「だっ!?なっ、おま、もしかしてジェイクと同じで心が読めるのか!?」
「違いますよ」


ジェイク、という単語に、バニーが明らかに不機嫌になる。
結局あいつはバニーの両親を殺した犯人ではなく、黒幕はマーベリックだったんだが・・・。
バニー曰く、オレを瀕死の重症まで追いやったコトと、戦闘中にオレの名前を呼び捨てにしたのが気に入らないらしい。
案外嫉妬深いんだな、って言ったら、物凄い顔で睨まれたっけ。


「虎徹さんだから、解るんです。貴方限定ですよ」



チン、という電子音と共にエレベーターのドアが開く。
先に1歩踏み出してから、王子が姫を案内するかのように手を差し出された。
フロアのライトを背負い、逆光の中で金色の髪がふわりと輝く。
淡い翡翠色の瞳が、六角形のガラスの中で柔らかく歪んだ。


「だって僕は、公私共に貴方の相棒ですから」




僕は、大きな勘違いをしていた。
目の前で起きている現実が、あまりにも想定外で素直に受け入れられない。
褐色の肌は、僕の服の裾を引っ張っている所為で白くなっている。
目深に被られたハンチングの所為で、表情が読み取れない。
かたかたと小刻みに震える身体。
今、何を想い、どうしてこんな行動を彼が起こしているのか、僕には理解出来なくて。
正直、混乱している。


「・・・で・・・」


声というよりは吐息に近い、それ。
耳を澄ませるが、音としてすら認識出来ない。
ぎゅっと更に強く裾を引かれ、白くなった部分が広がる。
手を伸ばそうとした時、震えた声が聴こえた。


「行、か・・・ない、で・・・」


行かないで。
思いも寄らない言葉に、僕はまた混乱して固まってしまう。
虎徹さんが、僕に・・・行かないで、だなんて・・・。


「行かないで、バニーちゃ・・・」


僕はやっと気付いた。
自分が、大きな勘違いをしていたコトに。
声を掛けるのはいつも僕からで、食事に誘うのも僕からで、キスをするのも僕からで。
虎徹さんはその度に恥ずかしそうに頬を染めながら、頷いてくれて。
僕のコトをそういう意味で好きで居てくれて、ちゃんと好きだから付き合ってくれている。
それは解っていた。でも、僕は本当の意味では解ってはいなかったんだ。
好きに矢印をつけるとしたら、僕らの矢印はちゃんと向き合っている。
けれど、僕の方が本数が圧倒的に多く。
お互い好きだけれど、僕の気持ちは虎徹さんのそれより何倍も何十倍も何百倍も多いと思っていた。
虎徹さんの好きがそれほど多くなくても、僕を好きでいてくれてるならそれでイイ。
そう考えていたから、気付かなかったんだ。


「行かないで・・・!」


こんなにも、虎徹さんが僕を好きで居てくれているコトに。
ポケットからケータイを出して、電話をかける。


「あぁ、ロイズさん?お疲れ様です」


びく、と俯いたままの虎徹さんが震えた。


「すみません、この後予定されていた女性社長との打ち合わせ、キャンセルしてください」
「・・・バニーちゃん・・・」


顔を上げた虎徹さんの目には、薄っすらと涙の膜が張られていた。


「理由?ロイズさんも気付いているでしょう。あの社長がビジネスでなく僕に近付こうとしているコト」


服の裾を握り締めている手を離させ、そっと指を絡める。
じっとみつめながら、まだ震えの止まらない身体を抱き締めた。
背中に腕が回されて、きゅっと抱きつかれる。
・・・愛しい。
ハンチングを奪い、柔らかな黒髪に顔を埋めながら細い腰にそのまま腕を回した。


「そういう感情を持っている方と、仕事はしません。僕のポリシーに反しますので」


まだロイズさんが何か言っているが、切ってしまう。
ケータイをポケットに押し込んで、ぎゅっと力強く抱き締めた。


「・・・ごめん、オレの所為で・・・」
「いえ、イイんです。僕も乗り気じゃなかったですし」
「・・・最悪だよな、バニーちゃんの仕事の邪魔しちゃって、オレ、本当に最低・・・」


肩の辺りに熱い雫が零れて来る。
慌てて身体を離し、琥珀色から零れる雫に唇を寄せた。


「泣かないでください、僕、虎徹さんに泣かれるの弱いんですから・・・!」
「でも、オレ、本当・・・っ、だけ、ど、バニーちゃんが女の人と打ち合わせだからってご飯行くの、や、で・・・」
「僕が無神経でした、すぐ断わるべきだったんです。ごめんなさい、虎徹さん・・・」


強く強く抱き締めて、くしゃくしゃと髪を撫で回す。


「すごく嬉しいです・・・虎徹さんが、そうやって嫉妬、してくれて」
「め、わくに・・・決まってる・・・!」
「迷惑なんかじゃありません。僕の言うコト、疑うんですか?」



ずるいと思いつつ、わざとらしく眉を下げる。
ぶんぶんと涙目のまま首を左右に振って、虎徹さんが声を張り上げた。


「バニーちゃんが嘘なんか吐かないって知ってるし、信じてる!」
「じゃぁ、もう泣かないで下さい」


柔らかく微笑んで、強く強く抱き締めた。
僕の方が、好きの気持ちが上で。もしかしたら、僕だけが好きなのかも、と少しだけ思うコトもあった。
それは大きな勘違い。
虎徹さんは、こんなにも僕のコトを―


「愛してます、虎徹さん」




なんで、オレ。ここに居るんだろ。
かしゃかしゃと泡だて器でボウルの中身を混ぜながら、がっくりと肩を落とす。
広いキッチンに立ち込める、甘いチョコの香り。


「ファイアーエンブレム、これなんかダマになっちゃったんだけど・・・」
「あーらやだ!だからちゃんと混ぜなきゃ、って言ったじゃない。もう、ほら、こうやって混ぜるのよ」
「ファイアーエンブレムさーん、僕のなんか固いんだけど・・・」
「ちょっとぉー、ちゃんと粉、振るわなかったでしょ。これで振るってからって言ったじゃない」


なんで、オレ・・・ここに居るんだろ。
女子2名、中間1名、で、おじさん1名の計4人。
ファイアーエンブレムの会社が関係している、お料理教室を借りて仲良くチョコレートケーキ作り☆
じゃねぇよ!!なんだよ星って、乙女かっ!!
大体なんで男のオレがこんな所に・・・。


『あんた、ハンサムにバレンタイン、何もあげないつもり?』


あの一言がキッカケだった。
てっきり、一緒にチョコ売り場とか言ってくれるのかとか、代わりに買って来てくれるのかと思ってたら・・・。
まさかの、チョコレートケーキ作り教室開催+お招き頂くとは・・・。
しっかりそれぞれのヒーローカラーのエプロン、三角巾まで用意してくれてあってよ。
断わったけど、物凄い圧倒的なオーラに圧倒されて、結局こうなった訳で・・・。
楓ぇ・・・パパ、30過ぎてお菓子作りするなんて思っても居なかったよぉ・・・。


「ちょっとタイガー、もっと気持ち込めなさいよ!」
「だっ!や、やってるってば」
「ハンサムの事を考えながら生地を練るのよ。愛情をたーっぷり込めて、んねっ☆」
「愛情っていうか怨念に近いな」
「あぁん?」


ドスの利いた声に、背筋が冷たくなる。
ふるふると左右に首を振り、手を動かした。


「い、いや、なんでもないです」
「初めてにしては上出来じゃない。生地も綺麗にまとまってるし、センスあるわよ」
「そうかぁ?チャーハンなら得意だけど、ケーキなんか初めてだからよぉ・・・これでイイのか?」
「大丈夫大丈夫、あとは用意してある型に流して焼くだけだから」
「意外と簡単だな。いや、お前の教え方が上手いのか」


一瞬だけ目をぱちぱちさせて、ファイアーエンブレムがにこっと笑う。
あんたのそういう所、好きよ。
そう言って置かれたのは、ウサギの型と小さい丸い型・・・お、おい、これウサギって・・・。


「小さいのは試食用。ウサギの方はハンサムへ渡す方だからね」
「ぎ、逆じゃだ―」
「あぁん?」
「なんでもないです、すいません」


ウサギ型って・・・な、なんかこれ、力入れすぎじゃねぇか?
てっきり普通の型を用意してくれてると思ってたんだけど・・・。
こんな乙女っぽい物用意して、大丈夫か・・・?
バニーに嫌がられたりしねぇかな・・・っていうか、味解んねぇし・・・。


「ブルーローズのはハートの形で、ドラゴンキッドのは星の形ね」
「バラの形は難しいもんね。ありがと、ファイアーエンブレム」
「僕、イナヅマのが良かったなーこういうギザギザの」
「バレンタインなんだから、可愛いのにしなさい」


ファイアーエンブレムは別として、ブルーローズやドラゴンキッドみてぇに家族にやるのとは違うからなぁ。
・・・バニー、どう思うんだろ。
ここまで来ちまって、ノリで結局参加しちまったけど・・・


「渡せるのか?これ・・・」


オーブンに入れながら、大きな溜息を吐いた―


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